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明滅の誘う光

「遅いじゃないか、ミッターマイヤー。」
シサンがその声に振り向くと、蛍光灯にパターンある明滅を演じさせる男がそこに居た。
これといった特徴がなく、黒髪に斑にオレンジ色を入れてセットした今日びの若者だ。
年のころは精々二十の半ばか、それ以下。
これといった特徴がないという点ではシサンにも通じるところがある。

「遅れて申し訳ないです。そしてミッターマイヤーって誰ですか。」
「あ、しらない?銀河英雄伝説のセリフ。実は俺見たことないんだけどねー。」
「すっかりオタクですねえ、ミスター」
「おっとその名前は呼びっこなしですぜクジュウの旦那。」

ほいと駅のベンチから立ち上がった瞬間、今までの明滅が嘘のように光が安定した。

「嫌いなんだよねぇー、その呼ばれ方。前にも言ったけどさ。」
「ではなんとお呼びしましょう。」
「クジュウだと君とダブるしなー、じゃあ佐藤で。ありがちー。」
「じゃあ、佐藤さん。」
「あ、なんか変。気持ち悪っ。ま、それはさておき女の子見なかった?」
「女の子……ですか。どのような。」

思わず視線を構内に向ける。
電車を待つ派手な装いの少女の中、誰からも省みられない少女が中年男性の後ろに居る。
息を詰めて、両手を背中に構えていた。

「そう、長い黒髪で地味ィーで、痩せてて。」
「でしたら、そこに。どうやら男性を突き飛ばそうと算段しているように見えますが。」

中年男性の後ろを指差す。
そこで丁度電車の信号が変わり、列車の到来を告げるアナウンスが入る。

「あの子止めて!」
「あ、はい、了解しました。」

便宜的に佐藤とされた男の前からいつの間にかシサンが消え失せる。
佐藤以外の他人からも存在を認識されることがない。

そのまま後ろから肩を捕まえ、少女を向き直らせる。
そして佐藤を顎で指した。
少女の方はこっくりと頷いて、先ほどの行動を思いとどまった。
そしてシサンをまるっきり無視して

「いや、仕事の前から電車止めてもらったら困るってば。」
「で、一体彼女は……」
「……いうなれば久住・つくも。通称シマネキちゃん。君の妹分だ。」
「はあ、妹。」

ピンとこない様子で妹と呼ばれた少女のつむじを見下ろす。
同コンセプトで作られたとは思えない程にか細く、陰鬱で、いうなれば目立つ。

「10歳で放り出されちゃって今13歳。ということで俺お義兄ちゃん。」

佐藤は笑って見せた。この上なく下世話な類に。
白い顔を舐めるような視線が落ちる。

「因みにこの子の妹は通称トモビキちゃん。」
「仕事するにはえぐいネーミングセンスですねえ。」
「モブよりオシャレじゃん。まあそんなことはどうでもいいんだ。レッツゴー。」

案内する道すがら、シサンにリナザウが託される。
データを読めということだろうか。
符丁でライトノベル仕立てにされたデータを読み進めながら、それについていく。

ぱっと見れば三人が年の離れた兄妹にさえ見えるかもしれない。
……この先兄妹のようにはならぬだろうが。
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