猫のゆりかご

「はい、クジュウです。」
「やー、オレオレ、オレだよオレ。」
「詐欺は間に合っておりますが。お金ないです。」
「やー、俺も詐欺してまでお金欲しくないなー。」
「ああ、そういえばかれこれ二ヶ月ほどミズ・アラルディから預かり物があるんですが。」
「あー、しってるしってる！ひどいよねー、心を寄せる女の子が心配でやったのに。」
「犯罪です。」
「はっはー！人殺しに犯罪言われちゃったよ！」
「五十歩百歩という言葉もありまして。」
「やあ悪かったよ。でさー、仕事があるんだけどいい？元旦一発目っていうかチョッキシで。」
「や、すいません。元日はバイトでして。」
「何時から何時まで？」
「えー、朝五時から八時までですね。」
「やー、無理言って代わってもらえない？」
「あはは、年末進行で死相が浮いてる店長にそんなこといえるわけないじゃないですか。」
「そっかあー、じゃあ移動こみで四時間でカタつけてくれるかな。」
「えー、場所はどちらでしょう。」
「トウキョウ。」
「まあ、なんとかなるんですかねえ。」
「そうそうそう、久々に俺が仕事するの。すごいねー。俺が仕事。」
「嫌な予感がするなあ。」
「気のせいさ笑えよ。」
「蜘蛛の糸ですか。」
「うん、よくわかるね。」
「貴方が聞かせたんでしょうに。」
「そういえばそうだっけ？まあいいや。」
「まあええ、ミスターグレムリン。今日は八橋で。」
「グレムリン言うなファッキン。いつもどおりで。」
「了解しました、ではむこうで。」