猫のゆりかご

「あー、はい、クジュウです。」

「やあ、元気にやってる？」
「ええ、おかげさまで。」
「今何してんの？やっぱり人斬り？」
「どっちかといえば人じゃないもの斬ってますよ。ちょっと今治で二三ありまして。」
「今治ってどこ？長野かどこか？」
「四国らしいです。」
「ああー、ハカタ県とか。」
「博多県はないですよ。ついでに博多は九州です。今治は愛媛県ですね。」
「あ、それはしってる。あずきトーストだかいうの食わされた。」
「それは、名古屋ですから愛知ですよ。」
「わかってるさ、冗談だ。ところで兄さん、今ヒマ？」
「ええまあ、それなりに。というか、よく連絡先わかりましたね。」
「鳩ちゃんに聞きました。君が生身の俺に見つけられるはずがないし。」
「僕見つけるのはウォーリー程度には難しいですよ。」
「無駄に高性能なやつめ。」
「恐れ入ります。」
「っと、雑談ばっかりになってしまうな。鳩ちゃん連れて出てこれる？」
「すみません、それが彼女、重症でして。」
「ありゃりゃん、そりゃあ残念だ。」
「動けるのは僕くらいしかいませんよ。」
「しょうがないから"白血"に声をかけておくかね。水曜なんだけども。千葉市で。」
「何時です？」
「300。」
「了解しました。報酬出ます？」
「あー・・・シナモノとか？」
「現金化するのが危ないじゃないですか。僕、そういう商売向いてないんですから。」
「冗談。学生にバイニンやらせるほど性根は腐ってませんよっと。普通に八橋はいかが？」
「白い恋人はないですかね」
「遠いな・・・」
「くるみゆべしでもいいです。」
「どうせ味なんて大してわかりゃしねえくせに。鎌倉カスターでも食ってろ。」
「否定はしませんがそれはあんまりです。」
「あとは銀行に。」
「信用金庫のほうでもいいですよ。」
「まあどっちでもいいか。分けて入れておくよ。そろそろ冬服欲しいでしょ。」
「冬場はダッフルコート着てしまえばわかりませんから、そんなに気はつかいませんよ。」
「鳩ちゃんはお金ないお金ない言ってるのに。欲ないねえ。」
「女の子はいろいろ入り用なようですし。夏に浴衣買ってましたよ。」
「おお、花火大会かあ。いいねえ、若いねえ。この。で、彼女可愛かった？」
「実はみてませんよ。」
「なんで？一緒に行ったんじゃないの？」
「あははは、僕はダメらしいです。一緒にいて勘違いされたら困るとか。」
「うわあ、なにその詩織様。」